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自家消費システムに適合するパワーコンディショナを見極める②

自家消費システムの最重要課題 「負荷追従制御」とは?

先日のブログでは「自家消費システムの成功のカギはパワーコンディショナのチョイス」にあり、という内容でその意味に関して解説しましたが、今回はもう少し掘り下げてお話しようと思います。

逆潮流無しの自家消費システムの場合、FITの時には無かった「負荷追従制御」という単語を耳にすることがあると思います。負荷追従制御とは一体何でしょうか?

前回のブログではシステムを安定して運用するためのポイントについて解説しましたが、少し具体的な事例も含めて詳しく説明していきます。

電力会社と系統連系規定に基づいて連系協議を行う際、逆潮流無し自家消費システムで問題になるのが「逆電力継電器(RPR)」の存在です。RPRの役割について、逆潮流をさせないための監視と誤解していらっしゃる方がたまにおられますが、これは系統側で断線やその他不具合が生じた場合に事故が拡大しない様、その系統にぶら下がっている発電所を系統から解列させるためのものです。同様の機能を持つものとして「地絡過電圧継電器(OVGR)」がありますが、こちらは断線に伴う地絡を検出するもので、RPRは地絡が発生しない不測の事態を検出するものです。しかしながらRPR自体は事故によって動作したのか太陽光発電の制御の問題で発生したかを判断する機能がありませんので、パワーコンディショナの制御追従が悪い場合でも動作してしまいます。最近は電力協議でRPRの自動復帰を許容するエリアもあるようですが、原則としては系統から切り離す必要があるため、動作するたびに発電量をロスしてしまい、結果お客様とのトラブルにつながります。自動復帰で組んだ場合でも、多くのパワーコンディショナに付加されている再起動遅延タイマー(多くが300秒)が働くため、一回動作するたびに5分間のロスが発生します。

従いまして「負荷追従制御」はシステム運用で最も重要な機能なのです。

電気の使い方は千差万別!お客様の電気の使い方を知る

それではパワーコンディショナではどのように負荷追従制御を行っているのでしょうか?

簡単な制御フローの一例を以下に記します。

 

 

 

多くのパワーコンディショナは受電点に設置された通信機能付きの電力メーターの買電データを見ながら制御します。買電量が設定より減少すれば発電量を絞り、余裕が出来れば発電量を増やす、という事を短い周期で行っています。この応答が早ければ安定した設備運用が出来ますが、遅い場合はお客様の負荷の変動についていけず、場合によってはRPRが動作してしまう領域に入ってしまう事になります。しかしながら、ただやみくもに応答が良ければいいというものではありません。あまり過敏に反応しすぎると出力が不安定になり、場合によっては制御不能な状態になります(ハンチング)。通常、このあたりの調整は数日かかることもあります。

 

お客様の設備や運用状況によっても必要な制御応答のレベルは変わります。

下のイメージグラフをご覧ください。

瞬時電力波形イメージ

 

30分デマンドデータではaもbもcも同じ「300kWh/30分」として表示されます。

しかしながら短いスパンでみるとaは常に出力が一定なのに対し、cは短い周期で大幅に変動しています。このような場合は難易度が非常に高く、パワーコンディショナの設定だけでは限界があるケースがあります。

システム安定化の切り札!「予備動作制御」と「急速負荷制動」

前述の通り、非常に短い周期で大きな負荷変動が生じる可能性があるお客様の場合はパワーコンディショナ自身の制御応答では追従できないことがあります。その様な場合、多くは「予備動作制御」と「急速負荷制動」で問題を解決することが出来ます。

ただし、全てのパワーコンディショナでこの制御が可能なわけではありません。当社はSolaredge社製のパワーコンディショナを自家消費案件によく採用していますが、理由はこの制御が可能で、かつ多様なシステム構築が特別な機器を用いなくても可能なためです。

「予備動作制御」とは、お客様の設備のうち、電力消費量の変動にインパクトがある装置から停止前に事前に信号をもらい、それに合わせて予めパワーコンディショナの出力を絞る制御です。「急速負荷制動」は買電量がある一定水準を下回った場合、一時的に急速にパワーコンディショナの出力を抑制する方法です。

Solaredge の場合、パワーコンディショナのマスター機、もしくはコマーシャルゲートウェイ(CCG)を設置することで負荷追従制御、および予備動作制御、急速負荷制動に対応が可能です。

 

急速負荷制動によりシステム安定化に成功した事例

この急速負荷制動が威力を発揮した事例をご紹介します。

提案の段階で構内に比較的容量が大きな負荷があることは判っていました。最初は事業所全体の負荷に対して太陽光のパワーコンディショナの容量がさほど高くないのでさほど深刻な問題にはならないだろうと考えていましたが、お客様と会話をしていく中で、休日にそのうちの幾つかが間欠的に運転がかかる可能性があることがわかりました。

そこで急速負荷制御の回路を予め準備した上で、まずパワーコンディショナでどこまで抑え込みが出来るか検証しました。結果、大きな設備が間欠運転を行ったタイミングでパワーコンディショナが追従できずRPRが動作してしまう事がわかりました。

 

急速負荷制動グラフ

そこで急速負荷制動を組んだうえでチューニングを実施した結果、現在は休日もRPRが動作することなく安定して稼働しています。

 

お客様の負荷の状況とそれに合わせたパワーコンディショナの選定がいかに重要かについてお分かり頂けたかと思います。

また、SolarEdgeから下記商品が新商品として登場しましたので合せてご紹介致します。

Krannich Solarではお客様から頂いた情報に基づいて最適な提案をさせて頂きますので、ぜひ当社スタッフにお問い合わせください。