ソーラーパネルの劣化
さまざまな原因で起こる劣化によるソーラーパネルの出力低下
太陽光パネルは時間とともに出力が低下しますが、これは「劣化」と呼ばれる自然な過程です。しかし、その背後にある原因は何か、そしてこの影響を加速させる要因は何でしょうか？この記事では、さまざまな劣化の種類の違いや、それらに対処する方法について説明します。
劣化とは？
劣化とは、太陽光パネルの性能が時間とともに低下する過程のことです。劣化は、例えば影などによる一時的な制約とは異なり、太陽光パネルに対して恒久的な変化を引き起こします。外部の影響がこの劣化プロセスを加速させることがあります。以下のような劣化の種類に区別されます。
- - 光誘起劣化 (LID)
- - 電圧誘起劣化 (PID)
- - 老化による劣化
光誘起劣化 (LID)
光誘起劣化、または初期劣化は、特にP型やPercモジュールで発生します。N型モジュールは異なる材料構成のため、初期劣化は少なくなります。
劣化は、太陽光パネルが初めて紫外線にさらされると始まります。吸収されたエネルギーはシリコンセル内で原子の動きを引き起こし、含まれているホウ素酸素複合体が飽和し、その結果、セルの電圧が低下します。初めて太陽光にさらされると、モジュールの導電率が低下します。この劣化プロセスは約1,000時間の運転で続き、その後効率が安定し一定のレベルを保ちます。いったん飽和すると、光誘起劣化は再発しません。
どの種類のソーラーパネルを購入する場合でも、光誘起劣化の開始を心配する必要はありません。光誘起劣化による出力損失は、メーカーがすでにソーラーパネルの性能仕様に考慮しています！
ソーラーモジュールのすべての性能データは、当社の商品案内ページある該当するデータシートで確認できます。
電圧誘起劣化 (PID)
電圧誘起劣化は、設置不良によって引き起こされ、モジュールの性能が最大で3分の1まで低下する可能性があります。
PIDは、接地が適切にされていないシステムで負電圧下に設置されたモジュールで発生します。特にシステム電圧が高いシステムではこの現象が発生しやすく、そのため電圧誘起劣化とも呼ばれます。
PIDは、セルとフレームの間に電位差を生じさせ、これによりモジュール内の電荷キャリアが移動し、出力損失を引き起こします。
N型モジュールではPIDの発生はほとんど見られず、新しいモジュールではメーカーによってPID耐性が十分にテストされているため、PIDの発生は減少しています。完全に安全を確保するためには、正極もしくは負極接地が可能なパワコンを使用することを推奨します。
老化による劣化
老化による劣化では、モジュールが時間の経過とともに自然に老朽化します。これは、汚染やソーラーパネルの個々の要素の老化などの外部要因によって引き起こされます。これらの要因は化学反応を促進し、ソーラーパネルの半導体材料に結晶硬化が発生します。電流の流れは、キャリア再結合プロセスによって制限され、その結果、導電性が低下します。
老化の影響を防ぐのは難しいですが、定期的に専門業者による清掃を行うことが推奨されます。特に、葉やほこりなどで汚れが発生しやすい太陽光発電システムには特に当てはまります。傾斜角が平らなソーラーシステムでは、汚れが特によく溜まります。
老化による劣化に加えて、素材のストレスによってもモジュールの性能が変化します。これらは多くの場合避けられません。
- モジュール内のセルの電気的接続部がはんだ付けされており、これらのセル接続によって電気的損失が発生します。
- 温度変動や悪天候などの外部の影響が老化プロセスと性能に影響を与えます。
- ガラスフィルムモジュールに使用されるプラスチックも、紫外線による老化プロセスを経て、剥離や出力低下を引き起こします。
太陽光パネルメーカーは老化による劣化を認識しており、そのため多くは30年までの出力保証を提供していますが、モジュールの寿命は通常それよりも長いです。また、モジュールをさらに強力にするために、研究開発に多くの投資が行われています。例えば、現在では、モジュールの性能を向上させるためにより多くのバスバーを使用したソーラーモジュールが製造されています。さらに、シリコンではなく、接続損失を避けるためにさまざまな接着システムを使用する試みが行われています。